吹き溜まり
本や音楽やライブや映画やゲームのこと。
[PR]
[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
『復活の地』
ハヤカワ文庫より、小川一水氏の全3巻からなる作品。
彼の『老ヴォールの惑星』で魅了された私が、
本屋で他の作品はないかと探して
その本屋においてあったのがコレだけだったので購入。
登場人物たちの会話のやり取りが、結構痛快( ̄ー+ ̄)
おおまかな話としては、
突如の大地震により崩壊した国家の再生を描いたものだが、
1巻のほぼ全てが、地震直後の情景で埋められている。
大地震が起きた状況を、それぞれの立場と状況ごとに
ストーリーが描かれているからである。
心なし少々くどく感じられることもなかったわけではないが、
責任を負うはずの官僚や高位にいる人たちを怒鳴りつける
セイオの会話の部分は痛快で気持ちがいい。
全編を通して、ひたすらに大震災と、
それに対する各所の対応がめまぐるしく描かれていた。
参考文献のなかには、関東大震災や阪神・淡路大震災の文献も含まれ、
予期せぬ大地震が起きた時の、一般市民の反応、
政府や自治体、軍といったものの対応と行動、
自国の災害とは関係ない他国家による思惑と画策。
現実として異常気象や地震が頻繁に発生しているこの世の中、
今この瞬間にも東京を中心に関東広域に
想像を絶する大地震が起きたら、
日本は正確な・・・
まともな反応と対策が出来るのだろうかと考えさせらる作品でもある。
作中では、有能な人たちの頭脳と手腕で
再生の道を確かに歩むことになるが、
そこに至るまでには、有能者や賢者といえど、
大災害の状況では判断の鈍りや誤りが生じるのが必須であった。
救済と救助の自覚を、
一般の人々一人ひとりに生じさせることによる国家再生法は
同じ被害にあった状況でも、人々の行動に大きな差異が現れる。
国家とは人であることを再確認させるようでもあると感じた。
状況が刻々と変化し、それらに関わる人々の行為と結果に、
息を呑む勢いで読了した。
TRACKBACK
TrackbackURL
COMMENT