吹き溜まり
本や音楽やライブや映画やゲームのこと。
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『天涯の砦』
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天涯の砦 小川 一水 早川書房 2006-08 by G-Tools |
この『天涯の砦』は今までので言うと、『ギャルナフカの迷宮』とか
『復活の地』寄りな作品となっている。
『ギャルナフカの迷宮』では出口の無い洞窟、
『復活の地』では突然の大地震。
そして今回『天涯の砦』では冷たい宇宙を舞台に物語が展開する。
それぞれがそれぞれの思いで居た軌道ステーション【望天】。
突如襲った激しい揺れに続く激震、そして叫喚。
生き残った数名と、自分たちが置かれている現状から、
次第に生き残りを賭けた戦いが始まる―――
状況推移よりも、より人間に焦点を中てたサバイバルもので、
真空に阻まれた彼らの、状況を敵とした導入部に始まり、
次第に人間までもがその状況に入っていきどんどん困難を来していく。
結構途中部分、登場人物に本気でムカつきを覚えたりするのだけど、
最後の方で、「・・・・・・・」と徐々に収まっていくのをはっきりと感じた。。。
大島功には、はじめキトゥンと接触したあたりは良かったのに、
あの暴走は本当に読みながらムカムカした。
門前のあの暴力過剰さもムカッ腹が立って仕方なかった;
まぁ、人物すべてにどこかしら頭にくる場面があったのだけど…。
私はニノ瀬さんにはそれは感じなかったが。甘海さんが責めたときも。
最初に嫌だったのはやはりというかキトゥンなのだが、
彼女を育てた環境、
その中で言わば人形のように連れまわされた彼女に同情はしても、
すべてを環境の所為にはできないと思う。
人の理性や人格は環境に影響されるのは当たり前だけど、
その中でのうのうとただ生きていただけなら、それは本人の問題でもある。
最後はちゃんと良いエンディングを設けて、
読み手としても安心して息がつける。
功が生きてたのは、そりゃバツが悪いよな;本人のあの別れからすりゃ…
それよりも啓太の両親が生きていたことにビックリだ。
私の中では小川作品の『復活の地』に次ぐ作品ですね。楽しんだ♪
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