吹き溜まり
本や音楽やライブや映画やゲームのこと。
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『星を継ぐもの』
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そうでなくても、やはり日本語と外国語では表現方法からニュアンス、
各感情を伴う感覚が異なるだろうと思っていたからだ。
原作者から読者に至るまでに、変容の度合いが大きく、
本来の面白さを読み解くことができないとも考えていたからである。
もっとも、初めて読んだ洋書の翻訳が、
変に真面目で、機械的な感想をもったからかもしれないが;
創元SF文庫より、ジェイムズ・P・ホーガン氏のハードSF。
帯を見て吃驚したのだが、小野不由美推薦!
とここで見るとは思わなかった名前が。そこには
「SFにして本格ミステリ。謎は大きいほど面白いに決まっている」とある。
私は、紹介文を読んで大いに興味を惹かれたので、その分を引用したい。
月面で発見された真紅の宇宙服をまとった死体。
だが綿密な調査の結果、驚くべき事実が判明する。
死体はどの月面基地の所属でもなければ、
ましてやこの世界の住人でもなかった。
彼は五万年前に死亡していたのだ!
一方、木星の衛星ガニメデで、
地球の物ではない宇宙船の残骸が発見される。関連は?
(小説裏表紙より)
現存する宇宙の歴史の中の、人類が確信している事実と
SFを見事に上手く融合させた素晴らしい展開と、
いわゆるSFスペースモノには付き物である
アクション的なシーンがほぼ皆無にあるにも関わらず、
各界の専門家との間に行われる推論と反論と考察、
そして包括の論議のみで、これほどまでにワクワクさせられたのは、
初めてだと思う。
最近ありがちな展開としては、発見された死体は
未来から来た人類が現在のわれわれよりも遙か過去にタイムスリップし、
その死体が今発見されたとかが考えられるが、
そういう展開じゃなくてよかったと思った;
こういう展開も面白くさせることはあっても、どうしても軽くなってしまうのだ。
現実を織り交ぜて読者を説得しながら進んでいくストーリーに、
そして次々と発覚する謎の解明となる手がかりに、
本作品の面白みがあると思う。
しかも、この作品初版が1980年と私が生まれる前の作品であることに、
改めて感嘆する。
問題の訳も問題なく、関連作があるようなので、いずれ手に取りたい。
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