吹き溜まり
本や音楽やライブや映画やゲームのこと。
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『太陽の坐る場所』/辻村深月
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太陽の坐る場所 辻村 深月 文藝春秋 2008-12 by G-Tools |
GWにつき帰省中なのだが、本を持ってくるの忘れた…
で、まだこれ買ってなかったので購入、ついでに読了。
辻村さん、彼女の作品はまだ、『冷たい校舎の時は止まる』と
『子どもたちは夜と遊ぶ』の2作品しか読んでない。(でも既出本は全て持ってる)
それでもなんとなく特徴は人物描写とそれを展開する舞台設定かなと。
舞台設定は、基本はこれといって特異なものではないけども、
リアル描写の為に、なるべく現実に即した世界観で行われる物語。
それにちょっとスパイスやら毒やら空虚感やらを加えて、
ありそう、実際あるある、な世界から僅かにズレた世界。
とまぁ個人的に思ってるんだが、
今回の作品、もともと著者の生きた人物描写が私は好きだけど、
その人物描写を抉った作品となっている。
ミステリー要素は無いに等しいかな。
学生時代っていうのは、人間関係はそりゃ色々あると思う。
特に、女なんかはグループを作るし、何かと違うものを排除したがるし。
でもそういうのが表立ってあるのは、中学生くらいまでだと思う。
高校に入るあたりから、それぞれがそういったものを内に秘めるようになるしね。
だから、表立った諍いはないものの、
その代わり秘めた鬱憤はより醜さを増して行く。
そういう中で、如何に自身で消化していくかで、
自分の演じる自分の方向性が象られていく。
上記は自論だけど、
そうやって誰もが一端は感じたことのある感情によって起こった事象を描いた作品が、
今回の作品、『太陽の坐る場所』だと思う。
流石にここまでは…と思う描写でさえ、ギクリとする。
自覚するか否かの違いで、実は皆が心に灯したことのある感情な気さえしてくる。
優しさや、厳しさ、怒り、悲哀、自身の感情がある限り、
完璧な客観的思考なんて不可能だと思う。
世界の中心は、自分。あながちそれは嘘ではない。
感じるのも行動するのも自分でしかないのだから。
物語上気になったのが、それぞれの章で視点を固定して語られているが、
最終的にそれを統合した章かエピローグがあれば良かったかな。
自己解決した彼らが、どうなったのかがちょっと気になった。
面白いかって聞かれると、面白くはないかな…。
そういう作品ではないし。ただただギクリと痛みがくる。
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