吹き溜まり
本や音楽やライブや映画やゲームのこと。
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「水域」(上・下)/漆原友紀
「蟲師」の漆原友紀さんの最新作!
期待はしていたけども、期待通りな素敵な作品でした(*'ー'*)♪
雨が降らない現実の街と、
雨が降り続ける”夢の村”。
そのすべてを知ったとき、
人々は自分が居るべき場所を悟る。
《カバー帯より》
現実と夢とを行き来する。
これ自体はそんな珍しいネタじゃないけども、
オリジナルな要素を含ませつつ、身近だけどどこか不思議な世界観、
けれどそれは現実とかけ離れたものではなく、
その空気感の表現が秀逸だと思った。
そう、この空気感が一番好きなところだ。
もの言わぬ表情とか、風景画のラフ描きのような背景。
絵がどんなに上手くても、空気感を描くというのは中々に出会えない。
雰囲気とか登場人物の感情とかは感じられても、その世界の空気感はね。
過去となった村と、
過去と現実とで生きる存在と、
夢の中での懐かしい風景。
読んでいてもどこか懐かしい気分にさせられる。
そして田舎ってすばらしい。
昔は祖父母の田舎へ夏休みに一週間程泊まりに行ったものだけど、
それも中学あがるころには途絶え気味に・・・・
親戚が多いため、賑やかだったなぁ。
昨年祖父が亡くなり、祖母もこちらに来ているので、
田舎の家にはもう誰も住んでいないが、
途絶えてあまり行かなかった近年を後悔している。
稀に行く度に、玄関のドアを開けた瞬間、
椅子に坐ってこちらを見た嬉しそうな祖父の顔を、昨日のことのように覚えている。
亡くなる直前となった年末年始にたまたま顔を出しに行ったのが
私にとってのせめてもの救い。
そうえいば、祖父母の家は、山のてっぺんにあるんだが、
そこももともとは海の中だったらしく、
散歩すると平ったい板みたいな石がそこかしこにあった。
貝の化石とかごろごろ転がってたし。
ちょっと車でいったところなんかには、
恐竜の足跡とかが道路沿いの壁面にあったり。
結構な田舎を持ったものだと今更ながらに想う。
そもそも山のてっぺんて・・・・家10個あるかないかだぜ?
小学生の頃、子供ながらに、
今いるこんな山の高いところが海の中だったと想像すると、
その想像だけでとてもわくわくしたのを覚えている。
作中で、水は本来怖がって然るものだと父ちゃんが言っていたけども、
確かにその通りだと思う。
別に私は金槌とかではないが、状況によって姿かたちを変え、
時に脅威となって襲いかかる水は本来は恐怖の対象なのだろう。
と同時に、神秘的、畏怖、不可解さを内包した、
創造物の対象としては魅力に溢れたものだ。
「水域」、境界のあやふやな不確かな領域。
改めて、読んでいて心地よかったです。
あ、私的に清子ばぁとと竜巳じいさんの若いころの純粋な好意がなんかよかった(〃∇〃)
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