吹き溜まり
本や音楽やライブや映画やゲームのこと。
- 2025.05.16 [PR]
- 2005.10.21 『復活の地』
- 2005.10.20 『野望円舞曲』
- 2005.10.12 『老ヴォールの惑星』
- 2005.10.06 『イミューン ぼくたちの敵』
- 2005.10.05 『夢の樹が接げたなら』
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『復活の地』
ハヤカワ文庫より、小川一水氏の全3巻からなる作品。
彼の『老ヴォールの惑星』で魅了された私が、
本屋で他の作品はないかと探して
その本屋においてあったのがコレだけだったので購入。
登場人物たちの会話のやり取りが、結構痛快( ̄ー+ ̄)
おおまかな話としては、
突如の大地震により崩壊した国家の再生を描いたものだが、
1巻のほぼ全てが、地震直後の情景で埋められている。
大地震が起きた状況を、それぞれの立場と状況ごとに
ストーリーが描かれているからである。
心なし少々くどく感じられることもなかったわけではないが、
責任を負うはずの官僚や高位にいる人たちを怒鳴りつける
セイオの会話の部分は痛快で気持ちがいい。
全編を通して、ひたすらに大震災と、
それに対する各所の対応がめまぐるしく描かれていた。
参考文献のなかには、関東大震災や阪神・淡路大震災の文献も含まれ、
予期せぬ大地震が起きた時の、一般市民の反応、
政府や自治体、軍といったものの対応と行動、
自国の災害とは関係ない他国家による思惑と画策。
現実として異常気象や地震が頻繁に発生しているこの世の中、
今この瞬間にも東京を中心に関東広域に
想像を絶する大地震が起きたら、
日本は正確な・・・
まともな反応と対策が出来るのだろうかと考えさせらる作品でもある。
作中では、有能な人たちの頭脳と手腕で
再生の道を確かに歩むことになるが、
そこに至るまでには、有能者や賢者といえど、
大災害の状況では判断の鈍りや誤りが生じるのが必須であった。
救済と救助の自覚を、
一般の人々一人ひとりに生じさせることによる国家再生法は
同じ被害にあった状況でも、人々の行動に大きな差異が現れる。
国家とは人であることを再確認させるようでもあると感じた。
状況が刻々と変化し、それらに関わる人々の行為と結果に、
息を呑む勢いで読了した。
『野望円舞曲』
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野望円舞曲〈1〉 田中 芳樹 荻野目 悠樹 徳間書店 2000-08 by G-Tools |
これも続刊の発売が滞って久しい作品の一つ。
(-_-;)私が気付いていないだけか?
手元には5巻までと外伝が1冊ある。
商業国家オルヴィエートの元首の娘である
エレオノーラ・ファルネーゼの身の内には、
容姿の美しさと儚さとはうって変わって、強い思いが秘められていた。
母を殺した父親と、異母兄弟に対する憤り、
身内で理解があるのは、唯一異母兄の一人であるジェラルド。
そして幼き頃からともに過ごしてきた侍従のベアトリーチェ。
ここに他国の工作員との接触により、
世界が大きく動こうとしていた―――
『銀河英雄伝説』以来のスペースオペラ作品。
私としては容姿端麗な上、たらしで、
その上艦隊指令司令長官としても有能な三男・ジェラルドが好き。
エレオノーラと彼は表立って協力をしているという関係ではなく、
それぞれに行動し、それが結果お互いを害することがないだけ
というような淡白とも取れる関係。
でも、互いに迷惑をかけない様にはしているあたりが、
他キョウダイと比べ、一番兄妹らしい関係である。
何となく、ジェラルドの方は
結構妹として可愛く思っているところがあるような気がしている。
エレオノーラの目下の難物は、工作員として出合ったコンラットで、
この二人の接触が、これからの変動の要となると予想される。
銀英伝とはちょっと異なる攻防劇が見られる作品。
続きはいつ出るのか!!( ̄□||||!!
『老ヴォールの惑星』
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老ヴォールの惑星 小川 一水 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
■ギャルナフカの迷宮
■老ヴォールの惑星
■幸せになる箱庭
■漂った男
もう全部が面白かった!!(*゜O゜)ノ
『ギャルナフカの迷宮』
刑期のない投宮刑を宣告され、
秩序とは程遠い世界に放り投げられたテーオ。
その場所で、そこにいる人たちの猜疑心に満ちた空間での
テーオらを描いた作品。
『老ヴォールの惑星』
ある惑星における、固体の存続よりも
知識と経験の受け継ぎを重要視した生命体の
希望と挑戦とを描いた作品。
『幸せになる箱庭』
木星の軌道の変異による地球の、
しいては太陽系の危機を脱するために派遣された調査員たち。
木星にいるとされる生物の説得を第一として始まったこの行為は、
同乗していた最年少のタカミに多大なる影響を及ぼすことになる。
個として、人間として、存在しているという意義、確証。
そして自分であるという意識。
あらゆるものに疑惑を覚えるSFスペース作品。
『漂った男』
救助はすぐに来るはずだった。
しかしその予測を裏切る、通信で次々と交わされる現状。
自分がいる惑星はココだと分かっているのに、
あまりのその星の大きさで発見が絶望的な現実。
真の孤独と、会話の重要性、ただ一人残される恐怖と強さを描いた作品。
実はこの方の小説、未読のものが一冊あるにも関わらず、
この間別のシリーズの1巻を購入;
この短篇集から考えて、そうとう期待大な作品です。
SF好きなら読んで損はないと思われます( ̄ー+ ̄)
『イミューン ぼくたちの敵』
イミューンというタイトルに惹かれて購入した作品、神林長平氏が解説をしています。
毎度毎度困るのだが、私は読んだ本を面白いと思ったことは覚えていても、
詳しい内容は記憶から飛んでしまっているのです・・・(-_-;)
この作品は、敵に対して特殊な能力をもつ二人の少年の攻防劇である。
高校に入ったばかりの小南佑(こみなみたすく)。
鳶色頭の少年、堺不動(さかいふゆるぎ)。
親友となった二人だったが、5月――佑に悲劇が訪れる。
【汚染】され、異様な姿となって死んだ母。
人間に寄生して増殖する【敵】の存在を知った二人は、
それに呼応するように、【敵】を消滅させる不思議な力を身につける。
そして戦いの中、いつしか少年たちの心に戸惑いが芽生える――
【敵】との戦いもメインではあるが、あくまで二人の人間模様を描いた作品でもある。
不鮮明で圧倒的な【敵】の力。フユルギの出した結論と選択。
そもそも【敵】という存在とその目的。
この敵という存在が独特に描かれていて、コレが敵だ!
といえるようなものではない(だったと思う;)
なんだかバーチャルのような感じの・・・・。
いうなれば上遠野浩平氏の世界と重なる部分があるかもしれない。
面白かった作品で結構青春もしてます。
『夢の樹が接げたなら』
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この短篇集のTOPを飾る「夢の樹が接げたなら」は、
作者の言語に対する興味が如実に現れている作品。
独自の言語を設計する言語デザイナーの主人公は、奇妙な偶然から、
これまでのものとは全く構造の異なる言語に遭遇する。
言語理解と人間の認識能力、そしてその未来を描く―――
第17回ハヤカワ・SFコンテストに入選した表題作のこの短編は
言語という意思表現と意思疎通の媒介が、独特に変化し、
言語移植という技術が一般的となっていて、個人言語から人工言語、
さらには社内言語なるもので
社内の結束を固めたりするような世界が描かれている。
言語という捉え方を面白い視点で描いている作品だと思う。
また、その他に7篇の短編作品が収録されていて、それぞれ面白い。